どうも!なしざわです。
今回は「元自衛官は使えない」となぜ言われるのか?についてまとめていきます。
「元自衛官」や「自衛隊退職者」で検索すると、「元自衛官は使えない」というようなキーワードがいくつか見られます。
もちろん、退職者の全員が該当するわけではないと思います。しかし、事実が全く存在しないところにそういった主張は生まれないでしょう。
加えて、現役自衛官の方でも「自分は民間でも通用するのだろうか?」と考えている方も少なからずいるはずです。
私自身、幹部自衛官から転職をする際にはとても不安でした。
そして、実際に転職をして民間企業で働いていく中で、「元自衛官が使えない」と言われる理由について気づいたことがあります。
大きくは以下の3つです。
・具体的に「何をいつまでにどうしろ」と言ってくれる幹部や上級陸曹は民間にはいないこと
・組織内で完結する業務しかしていないこと
・統一された価値観や頼るべき教範はもうないこと
では、この3点についてご紹介しましょう。
具体的に「何をいつまでにどうしろ」と言ってくれる幹部や上級陸曹は民間にはいない
1番大きな理由です。
自衛官時代は与えられた任務や役割をこなしさえすれば十分に評価されたと思います。
そしてその任務や役割、要するに「すべき仕事」は誰かが具体的に与えてくれていたものであることが多いはずです。
そしてその作業の手順や使用する車両、資器材、場所などを詳細にひとつひとつ指示をして、実行の監督をしてくれる「現場の長」がいました。
しかし、民間での上司やマネージャー、リーダーといった存在はそこまで丁寧な指示や作業内容を示してくれることは少ないです。
ざっくりとした指示が多く、自分で理解し直して行動する必要があります。
もう少し付け加えると、「達成すべき数字や成果、そしてその時期は指示してくれますが、具体的な方法や細かい手順や手段については自分で考えてね」って感じです。
「命令された指示で動く」という自衛隊の文化に慣れてしまうとかなりの違和感を感じるところだと思います。
「適時適切な指示をしない上司が悪いんじゃないの?」って思ってしまうかもしれません。笑
自己解決能力が重要になってくる
基本的に「まぁ、分からないことがあったら聞いてよ」というスタンスですが、それを鵜呑みにして質問ばかりしていては、使えないと言われてしまいます。
自衛隊という組織なら「部下が理解できないような指示や命令をする幹部や上司が悪い」という解釈になります。
しかしながら、民間では「最低限の指示や説明ですべき仕事を理解して、自律的に行動して成果を出せる人」になる必要があります。
自衛隊という組織ではあまり必要をされなかった能力である、自分で課題や手段を検討して自己解決する能力が求められます。
私は民間企業で働くようになってから、「自衛隊の指示がどれほど丁寧だったのか」ということに気づきました。
受け身の仕事だけでは評価されない
自衛隊においては幹部や上司から業務が割り振られます。そして、割り振られた仕事さえキッチリとこなしていれば「優秀な人」として評価されます。
しかし、民間では与えられた仕事をこなすのは最低限です。「与えられた業務+α」のクオリティが求められますし、自ら仕事を取りにいくという姿勢も大切です。
自衛官は与えられることや指示されることに慣れすぎている可能性が高いので注意する必要があります。
組織内で完結する業務しかしていない
自衛隊で普段行っている訓練や支援、恒常業務は自衛隊という組織内で完結する業務であることがほとんどです。
自衛隊で一般的な勤務をしている隊員には顧客やクライアントはもちろんいません。そのため、お金を頂いて仕事をするという感覚はほとんどないでしょう。
もし自衛隊の業務で失敗をしたり、期日内までに成果が上がらなかったとしても、組織内のことなのでたいした問題にはならないことが多かったでしょう。
しかし、民間では確実にサービスを提供する顧客が存在しています。
顧客に対する失礼や期日内までに成果を上げられないという失敗は顧客から評価も下がりますし、社内での評価も下がります。
自衛隊の時には目に見えにくかった「成果」というものが、民間では「数字」になって現れてきます。
組織内で完結する業務ばかりしていると、「仕事をする」という意識が希薄になっていきます。
顧客が満足できるサービスを提供できるように、確実な成果をだせる「仕事」をしなければいけません。
私も「期日内までに成果を出す」という意識がとても低いことに気づきました。
自衛隊にいたころは「中途半端な調整でもなんとかなる」「時間が解決してくれる」と考えてしまっていました。
実際、そんな仕事の仕方でも組織内で完結する業務なら何とかなってしまうのです...
統一された価値観や頼るべき教範はもうない
自衛隊の特性として、集団でより効果的に力を発揮するために様々な思考や価値観を統一しています。
実施すべき行動の手順や留意事項は教範で決められています。みんなが同じような思考や知識を共有できているからこそ、指示や命令を素早くできます。
しかし、何年間も変化のないような教範事項のようなものは民間にはありません。
自衛隊で身につけた知識は民間ではほとんど役に立たないでしょう。
必要なのは創造力
統一された価値観や教範が存在しない民間で必要な能力のひとつに「創造力」があります。
そしてこれは自衛官には求められることが少ない能力です。自衛官は幹部・陸曹を問わず、「すでにあるもの(例年通り)」や「規則や教範に書いてある事項」を理解し、模倣する能力は非常に高いと思います。
しかし、自分の知識や経験からアウトプットして何か新しいものを作ることは職業柄苦手だと考えます。
「創造力」をある程度発揮できないと、自分なりの考え方や手段で成果を出すことが厳しくなります。
「創造力」はいつからでも養えますし、「自衛官の頃とは違うんだ」という意識を持ち続けることが大切です。
私自身、そのことを自覚しながら日々頑張っています。笑
最後に
「元自衛官はなぜ使えないと言われるのか?」について自分なりに気づいたことを紹介してきました。
もちろん、当てはまる人も当てはまらない人もいると思います。
ただ、どちらにせよ「元自衛官が社会人として使えない」ということではなさそうです。
人の能力やパフォーマンスは所属する集団によって大きく変わります。
私が転職先で気づいたことはこんな感じでしたが、他の企業で働いている元自衛官の方はもっと違う視点から気づいたことがあるかもしれません。
自衛官の定年は延長されていますが、多くの人が「第二の人生」として定年退官後に再就職します。
もしかしたら、私のように依願退職して転職をするかもしれません。
その時は1度、「自分の強みは何で、足りていない部分は何なのか?」冷静に考えてみることをオススメします。
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