どうも!なしざわです!
今回は官公庁・公共事業関連のシステム開発が年度末に炎上しやすい理由についてまとめてみます。
私はソフトウェア会社でエンジニアとして勤務していますが、その会社では官公庁・公共事業関連のシステム開発を専門にしています。
官公庁や公共事業関連のシステム開発はプロジェクト予算も大きく、実際に各自治体などで使用される業務用ソフトウェアであるためやりがいもあります。
しかし、1つ欠点があります。それは年度末(2~3月)にかけて炎上プロジェクトになりやすいということです。
なぜ年度末だけ非常に忙しくなるのか、理由は主にこの2つです。
・具体的な仕様が決まるのが11~12月になりやすいこと
・顧客(官公庁・自治体)の予算が年度単位で区切られていること
この2つの理由について詳しく見ていきましょう。
なぜ、具体的な仕様が決まるのが11~12月になりやすいのか?
官公庁・自治体が何らかのシステム開発をベンダーに発注する際には、基本的に年度単位のプロジェクトとして発注します。ここで言う年度単位とは、4月~3月を1年度として考える単位です。
4月にプロジェクトが始動すると、まずはハード側の仕様を決定してきます。例えば、雨量を自動でデータに集計して、web画面での確認と帳票への出力が出来るソフトウェアを開発するとします。
その場合にまずは以下の事を決定する必要があります。
・雨量センサーにはどんなものを使用するのか?
・そのセンサーはどこに設置するのか?
・雨量に応じて制御する施設がある場合、その施設はどんな構造なのか?既存の施設のままなのか?
この段階ではまだソフトウェアの話は登場しません。ソフトウェアで制御すべきハード側(センサーや雨量に応じて水位を調整する施設など)の仕様を決定しています。
このハード側の仕様が固まるのにかなり時間がかかります。特に、施設の改築などが絡んでくるとさらに遅れる場合もあります。
このハード側の仕様が固まって、そのハードをどうやって制御するのかというソフトウェア側の仕様が決まってくるのが11~12月頃になることが多いです。
プロジェクトが始動するのは4月だが、ソフトウェア開発に着手できるのは11~12月以降になってしまう
このように「ソフトウェアの仕様を決定したいが、そもそもハード側をどうするのかがなかなか決まらない」ということが起きやすいです。
結果として、納期が2月~3月の場合はここから一気にソフトウェアを開発していかなければなりません。
年末年始休暇も挟んでしまうので、開発工程には全く余裕がなく、これが炎上しやすい理由の1つとなっています。
受託開発あるあるですが、納期が厳しくても顧客からの仕様変更は容赦なくあります。
顧客(官公庁・自治体)の予算が年度単位で区切られていること
官公庁や自治体の予算は一般的な企業と同じように1~4四半期を年度予算として定められています。
システム開発の予算もその年度として確保されていることが多いので、その予算枠が使用できるのは年度末(3月)までです。
したがって、どんなにハード側や施設の改築遅れが理由でソフトウェア開発の開始が遅れたとしても、「予算の関係でなんとか年度末までに納入してほしい」という要望になります。
どう頑張っても3月の納入は不可能だと判断した場合は4月以降に延びる場合もあります。しかし、受託開発の立場は弱いです。可能な限り顧客の要望に応えようとするので、「炎上プロジェクト」として残業と開発者を増やして納期に間に合わせることが多いです。
このように、予算の関係で4月以降に納期を変更することが難しく、開発着手の遅れを2~3月で無理やり取り戻そうとするのが炎上プロジェクトになりやすい理由です。
どうしも2~3月に集中してしまうんですよね...
ソフトウェア開発だけ次年度4月~とかにしてもらえたらいいですけどね。笑
最後に
官公庁・公共事業関連のシステム開発が年度末に炎上しやすい理由についてまとめてみました。
恐らく、官公庁・公共事業関連システムを主に受託開発している会社は似たような感じだと思います。
年度末は忙しく、その他の時期は新規開発というより既存ソフトの改造がメインというのが官公庁系システム開発を主戦場にしている企業の1つの流れではないでしょうか?
読んで頂いてありがとうございます。
参考になれば幸いです。
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