【偏見アリ】元自が語る~陸上自衛隊16職種のあれこれ|人気度や楽さを述べる!

自衛隊

どうも!なしざわです!
今回は陸上自衛隊16職種について紹介したいと思います。

私はもともと陸上自衛隊の幹部として勤務していました。退官時の階級は2等陸尉です。

私は一般大卒の幹部としては珍しく、「戦闘職種の小隊長」と「後方職種の小隊長」の両方を経験しています。(期間は両方とも1年程度です。)

両方経験してみた感想として、「戦闘職種はキツくて大変で後方職種はまったりしていて楽だ」というのはちょっと違います。

どの職種にも特徴があって、それぞれに強みや弱み、大変さの種類があります。

何を基準にして「楽かどうか判断するのか」によって変わってきますね。

「オススメの職種」というのも難しいです。その人がどんな自衛官人生を歩みたいのかによってだいぶ変わります。

私も全ての職種を経験しているわけではありません。だいぶ偏見が混じりますが、陸上自衛隊の16職種について箇条書きで殴り書きます!

なお、紹介で出てくる人気度は完全に感覚的なものです。笑

人によっては「もっと人気度が高い!」とか「こんなに人気じゃない!」とかいろいろあるかもしれませんが、そこはご勘弁を。

人気度:5段階(★~★★★★★)
職種枠:5段階(★~★★★★★) ←★が少ないほど「職種としての枠が少ない=その職種になりにくい」

参考までに私が幹部候補生の頃に希望した職種はこんな感じです。(戦闘職種は必ず2つ以上書くという制約があります。笑)
1 輸送科
2 需品科
3 通信科
4 機甲科
5 野戦特科

典型的な「後方職種全振り野郎」ですね!
最後に、「もし私がまた職種を選ぶならどこにするのか」についても書いてみたいと思います。

それでは各職種について見ていきましょう!

スポンサーリンク

1 普通科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
学 校富士学校(普通科部)/静岡県
人気度★★★
職種枠★★★★★
職種にひと言まさに陸上自衛隊そのもの 全てを教えてくれた場所

・陸上自衛隊の基幹職種
→その他の職種は全て「普通科を支援するためにある」と言っても過言ではない。

・「絶対に普通科がいい!」という人もそこそこいる
→空挺団や西普連は非常に人気が高い。同じ普通科でも少し特殊。

・幹部候補生の頃は「絶対に普通科小銃小隊長なんてやりたくない」と思っていた
→でも、実際に経験すると「普通科が1番良かった」と思えてくるので不思議

・良くも悪くも陸上自衛隊のイメージそのもの
→野営訓練が非常に多く、射撃、格闘、スキー、空中機動、行進訓練とどの分野においても訓練機会には1番恵まれている。

・野営訓練が多いのは紛れもない事実
→後方職種の倍くらい野営訓練があるので「絶対に野営訓練には行きたくない!」という人にはかなりキツイと思う。(まぁ、野営訓練が好きという人はかなり少数派だとは思う。)

・防災訓練や警察、消防、各種自治体との連携も主体となって行う職種
→様々な分野で訓練ができる。(自衛隊全般の活動に広範囲で関わることができる。)

・人数が多いのは凄く良いこと(1コ中隊で100人規模)
→当直や警衛などの特別勤務も分担しやすく、演習の準備や整備もマンパワーに頼って進めることが出来る。また、勤務調整の際にも代わりの人員を準備しやすい。教育や入校についても人数が多いほうが、人員に余力があるので行かせやすい。

・中隊だけでも訓練が完結できるのは凄く魅力的
→装備品も各中隊で自己完結できるので他の部隊の力を借りなくても訓練ができる。

・主体的な訓練日程が組めるので、「みんなで準備してみんなで休む」という勤務が比較的しやすい
→これが後方職種では出来ない。支援はどうしても受け身の調整になりがちなので、被支援部隊の都合に振り回される。結果的に急に支援が入ったりする。

・「ほふく前進~突撃」のような攻撃をするのは新隊員や教育隊でのみ
→勘違いする人が多いが、「ほふく前進~突撃」のような前近代的な攻撃は部隊ではほとんどやらない。

・基幹職種だけあって新しい装備品は優先的に回ってくる
→後方職種に比べると装備品は新しく程度の良いものが多い。

・総じてデメリットは野営訓練の多さに集約される

2 機甲科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
学 校富士学校(機甲科部)/静岡県
人気度★★★★
職種枠★★★
職種にひと言実際、戦車はマジで強い 偵察が優秀なら勝ったも同然

・機甲科といえば花形は「戦車部隊」だが、偵察も結構人気が高い
→理由はオートバイ(kawasaki KLX)に乗れるから。ちなみにバイクのMOS(特技)については普通科隊員でも取得は可能。ただし、すでに大型・中型二輪免許を持っている隊員のみ。

・希望はあくまでも「職種」としての希望になるので、「戦車」か「偵察」かまでは個人で選択することはできない
→本当は偵察をやりたかったが、戦車乗りになってしまう可能性もある。

・西部方面普通科連隊(通称:西普連)の「島嶼部の防衛・奪還」で活躍するAAV7(水陸両用車)の運用は機甲科がやっている
→野戦特科と同様に縮小傾向にある職種だったが、AAV7を所掌にするなど他の職種との住み分けをうまくやっている印象

・市街地戦における戦車の有用性は評価されている
→対ゲリラにおける市街地戦でも戦車の有用性は評価されているので、縮小傾向ながら上手く立ち回っている。

・大型特殊免許を取得できるが「大型車はカタピラ車に限る」という限定免許になる
→カッコいいが民間ではあまり役に立たない。

・機甲科が所属する駐屯地はほとんどが田舎にある
→最大の欠点。都市部の駐屯地で勤務できる可能性はほぼないと考えたほうが良い。私はこれが嫌だったので、機甲科は職種希望から外した。

・どうしても90式戦車に乗りたい!90式が1番カッコいいい!って人は北部方面隊を志望すること

・あまり話題にはならないが、偵察部隊にはRCV(87式偵察警戒車)という装甲車もある
→駐屯地祭などの訓練展示でよく活躍しているのを見かける。一般公道を走行できるため、ごく稀に走っている姿を目にする。

3 野戦特科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
学 校富士学校(特科部)/静岡県
人気度
職種枠★★★★
職種にひと言職種お決まりのキャッチフレーズは「戦場の女神」 人気がなさすぎるが大丈夫か?

・とにかく人気がなかった
→幹部候補生学校での話だが、区隊で誰も野戦特科を第1志望にしている候補生はいなかった。それでも職種としての枠は多いので、結果的に希望していないのに野戦特科になってしまうという不幸も起きる。

・野戦特科部隊はかなりの縮小傾向にある
→野戦特科部隊の統廃合は現在も進行中

MLRS(多連装ロケットシステム)はめちゃくちゃカッコいい
→これには少し憧れた。ただし、配備されている部隊が極端に少ないため、野戦特科を希望してもMLRSを運用できる可能性は少なかったので希望はしなかった。

・幹部に限れば「火力運用」については他の職種に比べて詳しくなれる
→というか、野戦特科で火力運用について詳しくないと存在価値がない。

・野戦特科の辛いところ
→砲弾を常に扱うため、演習中はずっと防弾チョッキを着ていないといけないこと。
→難聴になる懸念が高いこと。

・レーダーによる弾道計測が可能で精度はかなり高い
→火力運用システムや弾道計測をするので、冷静で事務処理能力の高い人はシステム運用に回される可能性が高い。

バトラーを使用した訓練では特科の155mm榴弾は強力
→制圧範囲が相当広く、普通科にとっては特科の火力頼みになる場面もある。

4 高射特科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
学 校高射学校/下志津駐屯地(千葉県)
人気度★★
職種枠★★
職種にひと言最先端装備が豊富 思えば演習場整備以外で協同したことなかったな...訓練場所はアメリカですか?

・現役時代にほとんど関わったことのない職種
→高射特科は持っている装備の特性上、訓練場所も限られるので実射訓練は1度も見たことがない。たしか、年に1回はアメリカで対空実射訓練をしていたような気がする。

・装備は最先端
→自衛隊の中ではかなり最先端の装備を保有している。対空装備はレーダー観測や誘導火器が多くなるため、1コ1コの装備品が非常に高価。

・正直関わりがなさすぎて普段の訓練で何をしているのかは不明
→でも、演習場整備は毎回一緒にしている。人がかなり少ないが一生懸命に草刈りをしている。

・おそらく野営訓練はそれほど多くないと思う。システム上での訓練や射撃態勢確立までの反復訓練がメインか?

5 情報科

出典:陸上自衛隊Webサイト https://www.mod.go.jp/gsdf/about/branches/index.html
学 校情報学校/小平駐屯地(東京都)
人気度★★★★★
職種枠★★
職種にひと言めっちゃ人気です!「情報」の価値は絶大です。結構優秀な人が多いイメージ

・かなり人気の職種
→イメージからしてカッコいいため、希望者は非常に多い。ただし、職種枠はそれほど多くないので、競争率は高め。サイバー分野の拡充で情報科の定員も増やそうとしているらしいので、職種枠はやや増加するかもしれない。

・幹部はまず普通科、機甲科、野戦特科で経験を積む
→情報科に配属される防大卒、一般大卒の幹部はAOCまで戦闘職種で経験を積む。理由は、「戦闘職種の行動に習熟していないと取得すべき情報と優先度が把握できないから」である。

・普通科の情報小隊や機甲科の偵察とは違う
→情報小隊や偵察部隊は潜伏したり、敵情を解明するために斥候として潜り込んだりする。情報科というとその情報をより精査したり、他の情報と組み合わせて「敵情や敵の可能行動」を導き出すことに主眼をおいている。

・「情報」は様々
→地図、文書、電子データ、国内情勢、国際情勢、ありとあらゆる情報

・自衛隊の情報保全を主導する。
→情報保全とは情報に関する機密や取扱いに関すること。自衛隊の情報が外部に漏れないように様々な施策を主導でやっている。近年が厳しさが増していて、結構大変。

・各駐屯地に情報派遣隊が存在している。

・陸上自衛隊だがあまり汚れなくて良さそうなイメージ

6 航空科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
学 校航空学校/明野駐屯地(三重県)
人気度★★★★★
職種枠★★
職種にひと言どうしてもパイロットばかりが目立ちますね...整備員も「絶対に失敗できない」プレッシャーと闘っています。

・飛行要員が圧倒的に人気
→おそらく航空科を希望する人の多くは飛行要員になりたい人だと思う。最初から整備要員を希望する人はかなり少数。

・分野がいくつか分かれている。
→飛行要員、整備、気象、管制のはず。

・山林火災などの災害派遣での出動が多い。
→常に待機要員のような生活になってしまうため、「休日を拘束されるのは絶対に嫌だ!」という人には向いていない。「飛行要員になってから心が休まる時はなかった」と言って退官していった自衛官の姿が印象的。それくらい急な出動やいつでも出動できるように準備しないといけないことが多い。プライベートの拘束が多い職種であると言える。

・飛行要員でなくて搭乗要員にも手当はつく。
→飛行要員の手当が高いのはもちろんだが、一緒にフライトする搭乗要員にも手当がつく。結構高いのでおいしい。

・野外訓練では航空機の偽装が大変
→ヘリは非常に大きいので、それを偽装網などで覆って敵から暴露しないようにするのは大変。

・整備要員は絶対に失敗できない。
→ヘリは空を飛ぶ乗り物なので、「整備不備 = 墜落」を意味する。整備のチェックは非常に厳しい。整備・点検の頻度も高いため、整備要員も結構忙しい。

・式典や駐屯地祭では引っ張りだこ
→やっぱりヘリコプターはカッコいいので、式典や駐屯地祭では必ず呼ばれる。4月~5月にかけてはかなり忙しい。

7 施設科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
学 校施設学校/勝田駐屯地(茨城県)
人気度★★
職種枠★★★★
職種にひと言何かとお世話になりました。 やっぱり機械力ですよね。人力では心も体も限界です。

・「普・特・機・施(フトッキシ)」と言われるくらい戦闘職種に近い職種
→地雷原の処理は命懸け。というか、結構そこで死傷する。

・職種の中でもかなりいろんな小隊に分かれている。
→特殊技能持ちも多く、小隊ごとに特色が強い。逆に言うと、小隊ごと特性に応じた任務が与えられやすく、部隊交代等の代替は効かない。

・「ずっと穴ばっかり掘らされるんでしょ?」
→そんなわけはない。防御訓練だと陣地構築の所要も増えて構築支援も多くなるが、基本的には重機を最大限活用する。当たり前だが陣地、障害等の構築には詳しくなる。

・演習場整備では主役
→自衛隊で春と秋に実施される「演習場整備演習」ではまさに主役。重機と特大型ダンプを最大限活用してドンドン進める。チェーンソーを使ってマンパワーで処理しているのがバカらしくなってくる。

・大型免許、大型特殊免許、けん引免許は他の職種に比べて早く取りやすい。
→任務の特性上、重車両や重機を使用する任務が多いので早めに免許を取得させて戦力化を図っている。

・施設科のベテランオペレータ(操縦手)は穴を掘るのがホントに早い。
→オペレータの習熟度によって作業の進捗はかなり変わる。自衛隊では重機を使用する際には「安全係」が必ずいるが、そのベテラン陸曹に怒鳴られている若手陸曹のオペレータを何度も目にした。

・武器科と通ずるが、作業内容が特殊な部分があり「職人気質」は少なからず存在していると思う。

8 通信科

出典:陸上自衛隊Webサイト https://www.mod.go.jp/gsdf/about/branches/index.html
学 校通信学校/久里浜駐屯地(神奈川県)
人気度★★★
職種枠★★★
職種にひと言サイバー分野で注目度アップ! もう1度職種を選べるなら通信科にするかも... 可愛いWAC率高め?

・大きく分けて「基地通信」と「野外通信」が存在している。
→野外通信ではその名の通り演習での通信網構成がメインになるので、設備の準備や有線構成が多く結構大変。

・全国の各駐屯地に基地通信隊が存在
→部外から電話を転送しているイメージしかない。正直結構暇そうに見える。
→とある元派遣隊長からのダイレクトメッセージを紹介
・駐屯地のVTC開設、OSのアップデート、ワンデイPWの対応、LANケーブル・電話線の維持、通信やシステムと名のつくもの全部の障害対処をしていて忙しい。
・人員も減らされて隊員がロクに代休等消化できず連続で夜勤も入っているのが現状

・「必通の精神」
→通信は繋がって当たり前という考えがあり、実際に部隊行動の生命線になる。そして大規模の演習では各通信部隊が主導で通信網を構成していくが、これが上手く繋がらないと大変。全て通信科のせいみたいな空気になる。特に指揮所内でも野外電話機を使ってやり取りしているが、これが繋がらないとすぐに「通信はどうなってんだ!!!!」と現場の幹部が呼び出されてシバかれる。可哀そう。

・自衛隊の通信機器は古く、故障や不調は日常茶飯事
→そんな大事な通信だか、使用している機器の老朽化が著しい。個人的にここにはお金をかけるべきだと思う。

・電波攻撃とサイバーは注目度の高い分野なので個人的にオススメしたい。
→通信機器とシステムに詳しいと重宝される。システム系の教育も充実しているので通信学校で学ぶことが出来る。タブレット端末を利用して作戦の命令や地図などの資料をやり取りするという施策にも挑戦している。

・各駐屯地に基地通信隊があるため、転勤先は都市部~田舎までいろいろ
→ただ、基本的には司令部の所在する駐屯地に通信隊は入っているので都市部になりやすいはず。

・可愛いWACが多い!?
→言われてみればそんな気もする。結局は個人次第か。

9 武器科

出典:陸上自衛隊Webサイト https://www.mod.go.jp/gsdf/about/branches/index.html
学 校武器学校/土浦駐屯地(茨城県)
人気度★★★
職種枠★★★
職種にひと言The職人気質!! 野外でもあれだけの整備が出来るのは素直に凄いと思う。 後方職種の中で威張るのはやめて欲しい。

・4つの分野に分かれて専門性を磨く
→火器、車両、誘導武器の3つは間違いなくて、もう1つは通信か弾薬。たぶん通信だと思うが忘れてしまった。この4つの分野のどれかを武器科隊員として高めていくことになる。配属された整備小隊(車両整備小隊など)によって決まってきて、教育を受けるMOSも変わってくるため、後々変更することはほとんどない。

・楽だと聞くが、実際はどうか?
→確かに戦闘職種と比べると演習は少ないが、楽かと言われればそうではない。車両の整備はひっきりなしに舞い込んでくるし、整備することが仕事な以上、断ることは出来ない。大型車両のタイヤ交換は整備工場でやることが大半だし、交換時期は忙しい。急な整備が多いと、整備予定もなかなか立てにくい。

・ものづくりや整備をすることが好きな人には向いている
→もともと車両や火器などが好きで、整備することが苦にならない人には向いている。ただ、4つの分野のどれになるかは本人の希望通りではない可能性もある点には注意。

・各部隊を直接支援するDS(直接支援小隊)が存在する
→普通科直接支援小隊や特科直接支援小隊などが存在している。これはその担当部隊専属の整備支援部隊であり、その被支援部隊が所属する駐屯地に存在している。演習などでも同行して共に訓練を行う。ただ、常にDSが一緒に演習を行うわけではなく時と場合による。

・DSがあるため勤務先の駐屯地は限定されない。

・後方職種の中ではリーダー的な存在
→人数が多いからなのか、「普通科と最も密接に行動する」からなのか、単に本人たちが「後方職種のリーダーは武器科だ!」と思っているからなのかは分からないが、結果的にはそんな空気になっている。段列の主は彼ら。

10 需品科

出典:陸上自衛隊Webサイト https://www.mod.go.jp/gsdf/about/branches/index.html
学 校需品学校/松戸駐屯地(千葉県)
人気度★★★★
職種枠★★
職種にひと言野外浴場最高!燃料・糧食・洗濯までこなす兵站部隊 雰囲気はややまったりしているような...

・人気度は結構高め
→楽そうなイメージからか人気度はやや高め。実際、自分が普通科にいた頃はすごく楽そうに見えた。

・楽かどうかで言うと、比較的楽そう。でも取り扱う資器材が多い
→後方職種なので確かに野外演習は少なめ。ただ、野外浴場もそうだが施設の構築と整備がかなり大変。使う資器材の量は凄く多いのに準備や整備する人手が不足しがちになる。人数も多いとは言えないため、マンパワーで乗り切ることは出来ない。

・人数はそこそこいるけど、恒常的な支援業務はあまりない=差出人員調整で標的にされやすい
→後方支援連隊(隊)からの各部隊への差出人員調整のときによく標的にされる。「あ~上級部隊への差出人員足らねぇな~、どっかの部隊で人余ってないかなぁ」
「補給なら定期便とか整備業務も入ってないんで余ってるんじゃないですか?」
「じゃあ補給からの差出人員増やそ(´▽`)」

・1番長く演習場にいる場合もある
→給油、入浴、糧食、洗濯の支援をするために、先に演習場にいって支援の準備をする場合がある。また、給油支援はたいてい1番最後まで支援を実施するので帰隊するのは1番遅くなる場合もある。結果、1番長く演習場にいないといけない。

11 輸送科

出典:陸上自衛隊Webサイト https://www.mod.go.jp/gsdf/about/branches/index.html
学 校輸送学校/朝霞駐屯地(埼玉県)
人気度★★★★
職種枠
職種にひと言運転技術は断トツ! かなり人数の少ない職種で楽そうなイメージとは裏腹に常に人手不足に悩んでいる...

・人気度は高い!というよりも職種枠に対して希望する人は多く競争率が高い。
→職種全体で2500人程度しか輸送科隊員はいない。それくらい少ない職種。

・最速で大型免許やけん引免許が取得できる。
→新隊員後期教育はほぼ大型免許の取得。ただ、この大型免許は「大型車は自衛隊用自動車に限る」という限定免許であり、民間では中型自動車までしか運転できないので注意。部隊配属後、結構速い段階でけん引免許も取得できる。

・野外演習は少なめ
→演習の数は戦闘職種に比べるとかなり少ない。ただ、その分支援は多い。

・全国物流便や定期便を担当
→自衛隊には全国物流便や各方面隊内の駐屯地をつなぐローカルな定期便が運行されていてそれを担当しているのが輸送科部隊。ほぼ毎週行っているので、それだけでもかなり人手を割かないといけない。ドライバーになると「全国物流便に行けばそれだけで1週間が終わる」くらいの感覚。フェリーでの食事は無料で食べれる。

・大型バスの支援が多い
→大型バスを保有しているのは輸送科部隊と音楽隊のみなので、人員輸送支援があると必然的に輸送科が担当することになる。大型バスの運転は難しい。

・花形とも言えるのが戦車やAAV7の輸送
→やっぱり目立つのは重車両輸送。21時~9時の間しか運行は出来ない。緑のライトをつけて走っている。朝霞駐屯地周辺でもたまに目撃される。交差点の範囲を全て使って右左折していく。

・演習では特大型(7tトラック)を使用するが偽装が大変
→輸送隊が演習で使用するのは特大型トラックだが、これがかなり大きいので偽装するのは大変。しかも基本的に単車運行(一人しか車両に乗らない)のを前提とした編成なので、1~3人で偽装網を展張しないといけない。心が折れる。

・中央輸送隊という存在
→陸・海・空自衛隊の輸送を統括する組織。横浜駐屯地に所在している。まさに「輸送の要」

・駐屯地は都市部にあることが多い
→輸送部隊は全国で見ても数は限られており、また多くの駐屯地が都市部にあるため、全国異動でもある程度候補が絞りこめる。「田舎よりも都会が好き!」という人にはオススメできる。

・船舶部隊が新設
→陸上自衛隊初の船舶部隊を現在準備中。新規立ち上げに向かって動いているので、おそらく4~5年後には本格的に稼働するはず。部隊の内容は不明だが、「陸上自衛隊に入ったけどやっぱり船に乗りたくなった」というちょっと変わった人は希望してもいいかもしれない。手当ももちろん付く(おそらく22%前後)。

・業務内容は楽だと思うが、とにかく人手が足りない
→演習でも整備所のように大規模な施設は構築しないので、楽といえば楽。ただ、人手が少ないので普段から代休も溜まりがち。交代させる予備要員もいない。

12 化学科

出典:陸上自衛隊Webサイト https://www.mod.go.jp/gsdf/about/branches/index.html
学 校化学学校/大宮駐屯地(埼玉県)
人気度
職種枠
職種にひと言ほとんど関わったことのない職種 真夏に化学防護衣を着て訓練すると思うと軽く死ねる

・まさに未知数!普段はどんな訓練をしてるんだろうか...
→この職種の人とも直接関わりはなかったので、正直よく分からない。

・CBRNE(シーバーン)への対処が専門
→CBRNEは、化学 (chemical)・生物 (biological)・放射性物質 (radiological)・核 (nuclear)・爆発物 (explosive) の 頭文字をとったもの。非常に脅威度の高いものへの対処が専門。かなり専門的な知識が要求されると思う。

・普段は目立たない存在だが、CBRNEへの対処で頼れるのは彼らだけ
→オウムの地下鉄サリン事件でも活躍している部隊。大規模テロでは「日本の最後の砦」になりうる可能性も秘めている。

13 警務科

出典:陸上自衛隊Webサイト https://www.mod.go.jp/gsdf/about/branches/index.html
学 校警務学校/小平駐屯地(東京都)
人気度★★
職種枠
職種にひと言警務科の交通整理はカッコいい! 普段は暇そうだが何か事案が起こると一気に忙しくなる職種 自衛隊っぽいことをしたい人には向いてないかも...

・自衛隊内の警察
→自衛隊内で起きた事案について対処している。

・何もなければぶっちゃけ暇らしい
→事案はそんなに頻繁に起きるものではないので、何も起きていない時は正直暇だという話を警務科の方から聞いたことがある。少ない時には年に1回だけという年もあるらしい。(まぁ、そんなに頻繁に事案が起こっても問題だが。)

・交通整理ばかりしている印象だが...
→演習に同行してくることもあるが、基本的に交通整理をしているイメージしかない。駐屯地でも...交通整理をしているイメージしかない。

・おそらく演習もほとんどないと思う

・たった1度だけ部隊の事案で関わったが「もう2度関わりたくない」と思った
→たった1度だけお世話になったことがある。もちろん、私が起こした事案ではないが。感想は「もう2度関わりたくない」だ。理由は、起こった事案に対してそれはもう執拗にいろんな事を聴取してきて時間が奪われるから。あっちも仕事だから仕方ないのは分かるが。

・警務科は決して味方にはならない
→警務科は常に中立かつ客観的に事実のみを処理する。どんな事情があっても、「事実のみ」が上級部隊に報告される。

14 会計科

出典:陸上自衛隊Webサイト https://www.mod.go.jp/gsdf/about/branches/index.html
学 校会計学校/小平駐屯地(東京都)
人気度
職種枠
職種にひと言直接関わることはなかった職種 決算時期は一気に忙しくなる 会計科も野営訓練はするらしい...実際に見たことはない

・詳しい業務内容は分からないが、演習はほとんどなく、駐屯地における会計業務がメイン

・たぶん楽だと思うが、決算時期はかなり忙しいらしい
→ただ、臨時勤務に行っていた人の話だと実際はそんなに忙しくもないらしい。「普段がまったりし過ぎだから忙しく感じるだけだ。」と言っていた。

・会計に関する知識が身につくのはこの職種だけ
→当たり前ですが、自衛隊において会計の知識が身につくのはここだけ。どの程度の会計に関するスキルが身につくのかは不明。

15 衛生科

出典:陸上自衛隊Webサイト https://www.mod.go.jp/gsdf/about/branches/index.html
学 校衛生学校/三宿駐屯地(東京都)
人気度★★★
職種枠★★
職種にひと言頼れるメディック!それぞれが衛生兵としてのプライドと技術を持っている 治療・後送のスペシャリスト集団

・自分がどんなに疲れていても患者を励まし、治療するスペシャリスト
→後方職種で勤務するまでは衛生隊のことはよく知らなかった。普通科にも本部管理中隊に衛生小隊がいるが、射撃の時の救護員としての勤務をお願いする程度で本格的な治療は見たことがなかった。初めて兵站組織の治療設備や「治療・後送」の訓練を見た時、素直に凄いと思った。個人的にとても評価の高い職種。

・治療設備は大規模なので訓練は大変
→野外手術システムをはじめ、治療設備や患者収容所を開設するのは非常に大変。これに合わせて、陣地も構築する必要があるので上手く人手を割かないとなかなか開設できない。

・学校は三宿駐屯地にあって立地は1番良い
→教育を受ける衛生学校は三宿にあるため、教育期間を最高の立地で過ごすことが出来る。

・人間性もいい人が多かった気がする
→患者を相手にする仕事だからか分からないが、人間性も高い人が平均すれば多かった印象。

16 音楽科

出典:陸上自衛隊Webサイト https://www.mod.go.jp/gsdf/about/branches/index.html
学 校不明
人気度計測不能
職種枠計測不能
職種にひと言式典の時期は大忙し!演習場整備のあとに慰労コンサートもやってくれる! 演劇やコントもレベル高め

・式典や行事では各駐屯地を回るので忙しい

・慰労コンサートもやってくれる
→演習場整備の合間にコンサートもやってくれたりします。演劇やコントをやって楽しませたりしてくれる非常にサービス精神の高い部隊。(自分が所属していた師・旅団だけかもしれませんが。)

・凄く寒い中でも演奏するのはさすが
→コンサートは野外で夜にやってくれていたので、結構寒い。しかし、音楽隊の隊員たちは素手で冷たい楽器を持って楽しそうに演奏していた。プロ精神に溢れている。まさに「隊員の士気を高揚させる」ことが任務の組織。

・音楽隊も大型バスを保有している
→音楽隊も輸送科同様に大型バスを持っているので、またに式典などでは支援任務もしている。(女性の隊員が運転していて、「やるな!」と思った。)

最後に|もし1度、幹部自衛官になって職種を希望するとしたら・・・

また職種希望を第5希望まで書いくなら私はこれにします!

1 通信科
2 情報科
3 普通科
4 高射特科
5 航空科(整備)


当時とはだいぶ変わりました。笑

現在がソフトウェア会社でエンジニアとして勤務していることもあって、やるならサイバー分野やシステム関連で自衛隊に貢献できる幹部を目指すでしょう。

職種変更はなかなか出来ません。出来るとしたら以下の2つのルートくらいです。

1 部内幹部候補生を受ける際に違う職種で受ける。
2 SLC(3尉候補者試験)を受ける際に違う職種で受ける。


これも普通科→情報科や機甲科→輸送科なら職種変更できる可能性はありますが、逆のパターンはほぼありません。

一生その職種を背負うことになるので、是非積極的な理由で職種を選んでみてください。

読んで頂きありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました