今回は、比較的高い給料と安定を手にすることができる幹部自衛官を退職した理由についてまとめていきます。

私は「退職しよう」と決意してから1度も「やっぱり退職するのをやめよう」とは思いませんでした!
幹部自衛官という公務員でも特殊な職業からの転職ですが、その他の公務員と似ている部分もかなりあります。
「自衛隊から転職しようか悩んでいる...」
「公務員だけど辞めようか迷っている」
そんな方の参考になればうれしいです!
ちなみに私が転職をしたのは令和元年です。 幹部自衛官からソフトウェア会社のエンジニアという異色の転職でした。
また、「転職しよう」と思ってから実際に転職するまでの準備期間は1年半くらいでした。
その期間は独学でIT関連の知識とプログラムの勉強をしていました。具体的に行きたい企業があったわけではありませんが、プログラマ・エンジニアへの転職を目標にしていました。(地元の地方公務員も少し考えましたね...でも公務員はどこも一緒だと思い止めました。)
あとは、転職前に借金の整理と貯金ですね。
ある程度の計画性をもって転職しました。転職後はエンジニアとして成長できるように頑張っています!

最初は退職を考えるようになったきっかけです!
自衛隊という職業は素晴らしいものですし、職場の人間関係にはとても恵まれていました!
国家公務員という地位と高い給料を手放すには相当な覚悟が必要なはずです。退職する際には、しっかりと考えて後悔のないようにして下さい!
全ての始まりは大学の友人との飲み会

私が「このまま幹部自衛官を続けていっていいのだろうか?」と疑問に思い始めたのは、大学の同期との飲み会がきっかけでした。
それまでは幹部候補生学校~部隊配置と忙しく、東京に来ることすらなかったため、大学の友人とは疎遠になっていました。
しかし、夏季休暇で久しぶりに東京で再会することになりました。
久しぶりの飲み会はとても楽しく、大学時代のバカな話をしたりもしました。
ですが、それ以上に大きなインパクトを私に与えました。
彼らの圧倒的な成長
久しぶりの会った同期たちは驚くほど社会人として成長していました!
ちなみにこの同期たちは、最大手の保険会社、広告代理店、メーカーと就活では間違いなく「勝ち組」と呼ばれる企業で働いています。
そういった大企業で総合職として採用された彼らは、非常に忙しい日々を送りながらも専門的な知識とスキルを身につけていました。
金融・ビジネス・ITに関する知識は私だけ大学生の時のままでした。

大学卒業時はそんな差はなかったのに...
企業の入社2年目はこのレベルが当たり前なのか
誰もずっとその企業に勤めるという考えをもっていなかった
もうひとつ印象的だったのが、誰も絶対にその企業に勤め続けようとは考えていないことでした。
誰もが羨む大企業です。東証一部上場です。なのに、ずっとその会社にいようとは誰も考えていませんでした。
「専門知識とスキルを身につけて、いつでも転職できる状態にしておくのが大切」
「それでもこの企業にいたいと思えたらその企業で働く」
「転職していろいろな業界を経験できるのはメリットになる」
「人脈を含めて自分の市場価値を上げることが最善」
「副業でも稼げればそれが最高」
このような彼らの考え方は私には衝撃でした。
大学卒業後、陸上自衛隊という閉ざされた空間で過ごしているうちに、転職や副業という考えやキャリアが世間に浸透していることを思い知りました。
何より「成長しようと自分で必要なことを勉強している」彼らがカッコいいと素直に思いました。
この出来事をきっかけに「幹部自衛官」を続けることに疑問を持つ
この日までは、ただ前だけを向いて部隊勤務をしていました。
自分が安定した公務員を辞めるなんてことを考えるはずもなく、初級幹部になったばかりで必死に業務と訓練をこなしていました。
しかし、彼らに影響され、現在している勤務と今後歩むであろうキャリアを冷静に考えてみることにしました。

結果として、約3年8ヶ月で私は幹部自衛官を退職します。
ここからは、その退職の理由を個別に見ていきましょう!
1:努力してもしなくても10年後のキャリアはある程度決まっている

当たり前ですが、自衛隊は公務員なので成果主義ではありません。
防大・一般大卒の幹部のキャリアプランというのはある程度決まっています。7年後くらいまでは、年功序列で階級も自動的に昇任します。
また、その幹部の職種によってもだいたいのポストが決まります。
そのため、その本人がどれだけ努力していろんな知識の勉強をしてもその決められたレールを飛び越えて違う役職・職種のポストにはつけないのです。
逆に、なにも努力をしなくても10年後には同じくらいの階級で同じような内容の業務をしています。
20代~30代前半は「可能性と伸びしろの塊」です。民間のベンチャー企業などで革新的なサービスや技術を生み出す人達も若い人達が多いです。
そんな大切な時期を決められたレールにそって業務をこなして昇任していくことに疑問を感じました。
2:転職で評価されるスキルや能力はあまり身につかない → 市場価値は低いまま
公務員は確かに安定しています。なにか問題や犯罪を犯さない限りクビになることはありません。
ただ、定年まで絶対に退職しないとも言い切れないと思います。
もしかしたら、自衛官としての適性を失うような怪我や病気になってしまうかもしれません...
上司のパワハラにあって出勤できなくなるかもしれません...
間接的な理由で自分も処分を受けてしまうかもしれません...
このように途中で依願退職をする可能性は十分に考えられます。
転職するときの武器はほぼない

あなたは何が出来ますか?どんな成果が前職ではありますか?
転職ではキャリア相応のスキルと専門知識、そして自分が果たした実績が必要です。
若い幹部自衛官なら「若さと学歴」は武器にできるかもしれません。
ただ、30歳を超えた幹部自衛官がアピールできるスキルや専門知識、そして実績はあまりないはずです。
正確にいうと、民間企業が評価してくれるスキルや実績がないということです。
自衛隊は特殊なため、身につくスキルや知識も特殊です。
一般の企業では、戦闘・戦技能力、格闘、銃剣道、空中機動、火器や装備品の取り扱いに関する知識は評価されません。

まぁ、当たり前ですよね。
アピールできることは部下と業務のマネジメント能力、リーダーシップと部内外関係機関との調整力くらいですかね。
転職するならまだ若いうちに!
もし、私が30歳を超えて転職する場合には恐らくかなり厳しい状況だったと思います。
いくら幹部自衛官として身につけたマネジメント能力と調整力があったとしても、良い企業に転職するのは難しいでしょう。
他に専門知識やスキルがあればいいですが、業務で身につかない以上、独学やスクールなどで勉強する必要があります。
「いつでも転職できる状態にしておくことが大切」
この友人の言葉を借りれば、まだ若さのある今しか転職するチャンスはないと考えました。
3:公務員の宿命/縦割り構造による調整と承認ばかりの業務

公務員の宿命ですね。笑
自衛隊も同じで、部隊という単位で区切られています。そして、日常の業務のいたるところで、調整と承認の繰り返しです。
「上級部隊はどうなっているのか?」
「どの部隊が担当で誰が統制するのか?」
「何を根拠にしているのか?」
「責任の区分はどうなっているのか?」
この縦割り構造と15万人という巨大な組織のせいで、仕事に全くスピードがありません。
とにかく!決裁と承認がないと進まないのに、関係する規則や根拠も多いため、その確認・申請でさらに承認が増えます。
しかも、その指導受けで指摘があればまた遡って確認をしてもらう必要があります。
最終的に出来上がる資料は、決裁者の望むことがまとめられた資料で自分の当初の考えはキレイになくなっていることも珍しくありません。

この考え方が当たり前だと感じる人は公務員の適性があります。
終われば全てシュレッダー
確認・調整・承認のループを抜けるために様々な資料を作成しますが、基本的に終われば全てシュレッダーで裁断します。
自衛隊は「人を育てる組織」なので、隊員に訓練の成果として知識や技能が身に付けばそれで問題ありません。
しかし、あまりにも「何かを生み出している」という感覚がありませんでしたね。
画一的な価値観と教範事項が絶対
軍隊という組織の特性上しょうがないことかもしれません。
陸士、陸曹、幹部のどの階級においても、入隊直後は似たような価値観を教え込まれます。
それは、使命感や愛国心といった観念だけでなく、「理想の幹部、陸曹、陸士の姿」、「精強な部隊とは」など具体的に存在するものも含みます。
また、自衛隊の様々なことが教範で決まっていますが、これもあらゆる場面で絶対視されます。
内容も更新されていますが、ほとんどはかなり古いものが多いです。
結果として、自衛隊で多様な価値観や創造性が求められることは少ないです。
「答えはすでにある」のが前提になってしまっています。
4:する仕事、働く場所を自分では選べない人生 → 安定の代償

公務員である以上、自分に振られた仕事、自分の役職が担当する仕事をしなければいけません。
「この内容のプロジェクトが面白そうだから自分も参加したい」とか「この案件なら自分の能力がいかせそうだから自分がやろう」というのは存在しません。
する仕事の内容を選ぶということは公務員ではおそらく出来ないでしょう。
2~3年の全国転勤はやっぱり大変だった

自衛隊の幹部は2~3年での全国異動がほぼ確実です。
私は3年8ヶ月の勤務で3回ほど異動しました。
これは幹部の宿命なので避けようもありません。
「人事はひとごと」というように、どこに異動するのかは約1ヶ月半前の異動内示が出るまで分かりません。
「またすぐに全国異動かぁ、次はどこに行くんだろ」
こんな思いが幹部自衛官には一生ついて回ります。
「全く希望してない地域にも異動する可能性がある」というのがかなりのストレスになります。
もちろん、家族ができても苦労をかけるでしょうし、持ち家を買っても住めない期間があまりにも長いかもしれません。
誰がしても変わらない仕事はしない、働く場所は自分で決めれる人生へ
公務員での仕事の形態は「ジョブ型」と呼ばれるタイプです。
何かの業務があるとそれを担当部署と担当者が処理をする形態です。
この仕事では、担当部署と担当者が必要なのであって「なしざわ」が必要なわけではありません。
誰でもできる仕事をしても評価はされませんし、自分も楽しくはないし、やりがいも感じられないでしょう。
ジョブ型 → メンバーシップ型へ
そこで転職後は、担当や役職ではなく、真の意味で自分の能力が必要とされる仕事がしたいと考えました。
恐らく公務員でいる限りはできない働き方です。
転勤はなし、住みたかった場所へ
転職後は、「転勤なし、東京圏」という場所に本社がある企業にしました。

3年8ヶ月の勤務で3回は多すぎました。笑
組織 = 人生
公務員という立場で仕事をするということは、その組織に自分の人生を全て預けるということです。
役職も業務の内容も、転勤場所も自分では選べません。
組織の要求が全てです。組織が要求する枠内で用意された環境の中でしか業務はできません。
終身雇用、安定した給料を保障する代償に組織に全てを尽くすことが求められます。
※この状態を「やりがいがある」と考えることも出来ます。

全てが公務員という組織に最適化されてしまうので、民間企業の価値観には馴染みにくくなってしまいます。
5:残業や時間外労働という概念が存在しない

自衛隊には残業や時間外労働という概念は存在しません。
課業時間は決まっています。8時15分~17時00分です。
残業・時間外労働という概念がないことの弊害は、コストや効率化があまり意識されないことです。
「時間がないなら課業前や課業外の時間を活用すればいい」
私の考えとは違いました。どうしても、処理すべき業務があるなら残業するべきですが、積極的に課業以外の時間を拘束するべきではないと思います。
残業は0時間なので「働き方改革」や柔軟な就業形態への改革はなかなか進まないでしょう。
幹部は残業が多い
幹部自衛官は残業が多いです。激務と言われる「市ヶ谷の防衛省」や「朝霞の陸上総隊」以外の普通の部隊に勤務している幹部でも十分忙しいです。
もちろん、役職と担当によってだいぶ差があります。
土日にきて仕事をしている幹部も多いです。
残業が多い理由は、「その幹部の能力が低いから」と言われることがありますが、それだけではないでしょう。
やはり過度に複雑化した承認プロセスと、無駄な会議が多いことが原因だと思います。
権限がその人にあるため、調整相手が不在だと全く進まないのも大きいですね。
自衛隊の場合は何かと「会議」や「報告」、「認識統一」、「ミーティング」が多すぎることも原因です。
※結果として資料の作成は課業外にやらざる負えない状況になります。

残業は最高で月に100時間を超えるくらいでした。
土日にサービス出勤した時間は含めないでです。
平均すると、月に50~60時間程度でした。
6:人口が減り、採用人数も減る │ でも業務は減らない
少子高齢化の影響で、採用年齢の18~32歳の人口は今後減少していく一方です。
自衛隊でも「静かなる有事」と言われるほど採用難が深刻化しています。
通常なら、採用人数が減っても態勢を維持できるように「戦略的に縮小する」必要があるはずですが、自衛隊は今のところその考えはないようです。

隊員自主募集とかで何とか採用者を増やしている感じです。
でも、厳しい状況には変わりないです。
自衛隊はなぜか「減らす」ことができない
3年8ヶ月の勤務で思いましたが、自衛隊はなかなか減らすことができません。
それは訓練の規模、即応態勢のための待機要員、日常的な業務の全てです。
理由は、実績を報告する際に重要なのが「数字」だからです。
根本的な考え方として、前年度よりも拡大・充実していることが求められます。自衛隊として、縮小させるというのはあまり受け入れられません。
また、各部隊長も2年で交代する影響もあります。
「前回の部隊長よりもこうしたい!」
「俺が部隊長になったからにはこれがしたい!」
みんな既存のものに+αはしてくれますが、削減はしてくれません。
結果として、業務は一向に減らず、むしろ負担は大きくなっていくわけです。

末端の部隊にいると、現在の態勢がかなり厳しいことは分かります...
マンパワーに頼る場所は避けたほうがいい
陸上自衛隊の最大の強みは、15万人のマンパワーです。
これがあるからこそ、有事や大規模な災害派遣に対応することができます。
しかし、普段の業務もマンパワーに頼った非効率な業務をしているため、若年人口が減り続ける今後は厳しくなる一方だと考えました。
即応態勢の待機人員や特別勤務の要員もいい例です。以前書いた記事にまとめてあります。
ICT技術の導入が遅い

想像出来ると思いますが、公務員の職場ってけっこうアナログなところが多いです。
「こんなのシステム化すればいいのに」ってこともされてません。もちろん、予算が少ないだけかもしれませんがかなり遅れていると思います。
もちろん、情報保全やセキュリティの観点から懸念事項があるのは承知しています。にしても、遅いです。(※逆にICT技術の進歩が早すぎるのかもしれません。)
人口が減り、隊員が減るからこそ、システム化と効率化は早急の課題のはずなんですが、50歳以上の偉い人達はみんなシステムには懐疑的です。
「あるものでやる!それが自衛隊だ!」って言ってました。

システム化やIT化を進める最大の障壁は「人」だと言われるわけです。
使用できる機器も古い
パソコン、モニターをはじめ使用できる機器も古いものが多かったです。
使用する機器やソフトでも仕事の生産性というのは大きく変わります。「自分で購入するから使わせてくれ」と言っても、それは規則で認められていません。
自衛隊という組織の特性のため、情報保全には厳しいので仕方ない部分があるのは理解しています。
ただ、あまりにも効率化とはかけ離れた環境で仕事をしなくてはなりませんでした。
ITとプログラムの勉強にハマる
ITとプログラムの勉強をしようと思ったきっかけも、「ICT技術の導入が遅い」と感じたことが理由でした。
「システム化したほうがいい」とか「民間ではこんなシステムで把握して業務している」とかいろいろ言いますが、実際にシステムに詳しい人はほとんどいませんでした。
そこで、最低限の知識を身につけようと思って独学で勉強をはじめました。
結果的にそのITとプログラムの勉強にハマってしまい、転職先にはIT企業を選択しました。
7:また公務員になりたければなれる(簡単ではないが)

採用難、優秀な人材の不足は地方自治体や他の公務員でも同様です。
この傾向は、現在の人口変動から今後も深刻化していきます。
その中でも特にITやコンピューター関連の人材はあらゆる分野で必要とされるでしょう。
最近では社会人経験者枠での採用を行う自治体も増えていますし、採用枠に応じた採用年齢を35歳くらいまで引き上げている公務員試験もあります。

もちろん、それなりに競争の激しい試験区分も存在します。簡単になれるとは言えないですね。
結論として、高い専門性とスキルを持った人材で、試験の対策さえある程度すればまた公務員に戻ることは可能です。
全ては自分に高い専門性とスキルがあることが前提です。
最後に
私が退職した理由について長々と書いてきました。
幹部自衛官ならではのこともあれば、公務員という組織に普遍的なこともあります。
最後に究極的な理由を紹介します。それは!
「転職したほうが幸せな人生を送れる」と思ったからです。
人はみんなたった1度の人生を幸せに生きるために暮らしています。
幹部自衛官を辞め、一時的に年収も下がりますが、人生全体でみればそのほうが幸せだと考えました。

それがサブタイトルの「戦略的撤退」ってやつです。
まだ、退職したばかりですし、今後この戦略的撤退が作戦として成功するかも分かりません。
とりあえずは、プログラマー、エンジニアとして自分を高めていきたいと思ってます。
公務員・自衛隊から転職しようか悩んでいる人の参考になればうれしいです。
もちろん!公務員・自衛隊に残ることを選択するのもアリだと思います。
でもその時は、ぜひ積極的な理由で選んでほしいと思います。
コメント
なしざわさん、こんにちは。
来年度の陸上自衛隊幹部候補生学校への入校が確定している者です。
幹部自衛官が残業が多いことは何となく覚悟しておりましたが、月の残業時間が100時間を超える場合があるとのお話に衝撃を受けました、、、! 正直、幹部候補生学校に入校することは揺るぎない気持ちだったのですが、現在心が揺らいできてしまいました…
当方、大学は現在既卒で定時とは言わないまでも、それなりの時間に帰れたホワイト企業勤めを1年ほどしてからの自衛隊入隊の為、前職とのワークライフバランスのギャップから、幹部自衛官としてのキャリアをどこかのタイミングでなしざわさんと同じように退職という形を決断してしまうような気がしてしまいます。
現職を退職する前になしざわさんのこのコラムに辿り着きたかったです。幹部自衛官の内情がよく分かりました…
現在、なしざわさんはソフトウェア企業のエンジニアとして就職されていらっしゃるとのことでしたが、やはりコラムに書かれている内容から変わらず、現在の就職に満足をされているのでしょうか。もしくは、今後のキャリアアップのプランが明確にあるのでしょうか。(公務員への再就職を希望しておられるのでしょうか)
はじめまして!コメントありがとうございます。
いくつか情報を追加しつつ、返信したいと思います。
>>月の残業時間が100時間を超える場合があるとのお話に衝撃を受けました、、、!
残業時間については役職によります。幹部候補生を卒業して小隊長として勤務している間はそこまで残業時間は多くありません。しかし、早ければ2~3年後には運用訓練幹部という役職につく人が多いですが、そうなるとかなり忙しくなります。規模の大きな訓練や行事が重なると100時間を超えることもあります。
当時の最も忙しい月だと1日の勤務時間は以下のような感じでした。
出勤:7時15分 (課業開始:8時15分)
退社:22時 (課業終了:17時)
このほかに、土日も資料の作成に駐屯地へ行ってましたがその分は計算に入れてません。笑
※ちなみに朝の出勤時間が早いのは、武器庫の点検や間稽古、朝礼があったためです。
ただ、これは経験した中で最も忙しかった時期の残業時間です。
小隊長~運用訓練幹部時代を平均すると、19~20時過ぎには帰れていたので月に50~60時間ほどの残業時間です。
>>前職とのワークライフバランスのギャップから、幹部自衛官としてのキャリアをどこかのタイミングでなしざわさんと同じように退職という形を決断してしまうような気がしてしまいます。
正直言って、幹部自衛官のワークライフバランスはいいとは言えないと思います。役職によっては定時に帰宅できることもあるのかもしれませんが、幹部人生の大部分は忙しい生活を送るはずです。
土日に出勤して仕事を片付けている人もそれなりにいますし、そもそも演習、訓練、行事、各種支援がある際には課業時間という枠にはとらわれません。
また、私は経験できませんでしたが、市ヶ谷の防衛省や朝霞の陸上総隊など激務で有名な部隊・部署もあります。
退職した私が言えたことではないですが、「幹部」として部隊を背負う以上はある程度の覚悟は必要だと思います。私生活や趣味よりも幹部としての職務を優先しなければならない場面は必ずあります。
>>現在の就職に満足をされているのでしょうか。
現在の就職には満足しています。知識も経験も乏しい私に対して、とても親切に業務やソフトウェア・プログラミングについて教えてくれる企業です。幹部自衛官の時のよりも満たされないのは、給料くらいですかね。笑
実務未経験で入社したので仕方ないです。スキルと実力が重要な世界ですので。
>>今後のキャリアアップのプランが明確にあるのでしょうか。(公務員への再就職を希望しておられるのでしょうか)
公務員への再就職は今のところ希望していません。「どうしても地元に帰って就職がしたい」と思わなければ、公務員という立場に戻ることはないと思います。今後のキャリアアップは、3年後までに確かな技術と知識を持ったエンジニアとして成長することです。
現在の企業は居心地がいいので、そのまま勤務するかもしれませんし、別な企業へ転職することもあるかもしれません。業界に関する知識もついていると思うので、3年後の自分に判断させようと思います。
幹部候補生学校に入校したら頑張ってください!
気になることが何かあればまたコメントください(^^)
応援しています。
なしざわさん、早急なご返答のほど頂きありがとうございました。
『「幹部」として部隊を背負う以上はある程度の覚悟は必要だと思います。』とのことでしたが、おっしゃられている事についてなるほどなと納得が出来ました。(自身が実際に運用訓練幹部になった際にその責務の重圧や業務量に耐えられるのかはやってみない限りは到底分かりませんが…)
現在、予備自衛官補として招集訓練に参加しているのですが、確かに曹士隊員が休みの土日に普通に駐屯地内で仕事(?)をしている運幹の2尉の人を度々見かけたことがある気がします。
また、多少の程度の違いはあれど民間企業の社員も幹部自衛官も書類の山に追われ仕事が終わらない限りはどれほど課業外だろうと帰れないのは共通ということがよく理解出来ました。
月50〜60時間の残業も実際に経験してみると相当キツイのはよく分かりますが、なしざわさんが幹部自衛官の一日の流れを例として丁寧に示していただいたので、不安が少し軽減しました。ありがとうございます!
しかし、そうは言っても仕事は中々大変そ うですね… (^◇^;)
現在のところ、このままエンジニアとしてキャリアを積んで行く事を考えておられるんですね!!
私のような者が差し出がましい限りですが、お仕事頑張って下さい!
改めてになりますが、当方からの質問に色々丁寧に、親身にご返答を頂きありがとうございます。