【地獄】幹部候補生学校(入校~GW①)| 防大卒の襲来、そして入校式

自衛隊

どうも!なしざわです!
『幹部候補生学校の全て』の【地獄編】です。

この記事では着校当初~入校式までの期間についてまとめています。

幹部候補生学校では正門をくぐった瞬間から世界が変わります!

部隊経験のあるU´の活躍から防大卒の襲来、本当に嫌いだった剛健点呼と盛りだくさんな期間です。そして1番きつかった時期でもあります。同期が多く辞めていくのもこの期間です。

『陸上自衛隊幹部候補生学校の全て』シリーズの第2弾です。

ちなみに前回の第1弾「合格~入校まで」はこちらです!

それではいってみましょう!

スポンサーリンク

入校日当日~B(防大卒)が来るまで

いよいよ入校日です!宿泊していた久留米のホテルから無料の送迎バスが出ていたのでそれで幹部候補生学校に向かいます。

昨晩一緒に飲んでいた同期たちも同じバスで向かいました。みんなデカいスーツケースを持っています。

ちなみに、これから入校する予定の方はなるべく大きいスーツケースを買った方がいいです。

そのスーツケースが私物の保管場所になるので。笑

※入校時間はなるべく早めがいいです。手が不器用な人は特に。すぐに名前の縫い付けがはじまるからです。笑

U’の指揮で前進し、正門通過

バスが正門前に到着し荷物を卸します。案内係の陸曹がいるので、その方の指示に従います。

●案内係「U’(部隊経験アリ)の人いる?」

●Aくん「はい!U’です!」

●案内係「じゃあAくんが指揮をとって隊舎前まで前進して」

●なしざわ「基本教練も知らない人はどうすれば...(;・∀・)」


正門通過する瞬間から世界が変わります。笑

U’や予備自の経験者以外は基本教練なんて知るはずもないので、とりあえず雰囲気で合わせます。ここでは出来ていなくてもシバかれたりしないので安心して下さい。)

「隊舎まで前進する!前へ進め!」

区隊長、付教官に挨拶

第3候補生隊と第4候補生隊がBU幹部の隊舎でした!

そこに到着後、自分が1年間お世話になる区隊長と付教官に挨拶をします。

ここでも、U’がいればその人の指揮で挨拶します。3~5人程度で挨拶しますが、私はタイミングが良いのか悪いのかひとりでした。笑

本日着隊しました、なしざわ候補生です!
よろしくお願いします!

区隊長
区隊長

おはよう!区隊長のメイトリクス1尉だ。よろしく!
今日は久留米のホテルから来たのか?

そうです!前泊してホテルの送迎バスで来ました!

区隊長
区隊長

そうか!まだ分からないことだらけだと思うが、今の段階で不安なこととかあるか?

そうですね...分からないことだらけですが、大雑把な性格なので「営内服務」が心配ですね。

区隊長
区隊長

んっ?どうして「営内服務」なんて言葉知ってるんだ?

予備自衛官補の訓練に通ってたのでそこで教わりました!

予備自だったのか!
じゃあいろいろ知ってると思うから、これから着隊してくる同期にも教えてやってくれ。
とりあえずは、自分の居室にいって身辺整理から始めてくれ

縫いもの地獄が始まる

居室に行くとすでに4~5人の同期がすでにいました。簡単に挨拶をして、自分の荷物をロッカーやベッド下の衣装ケースに入れていきます。

そして、片付けが一段落するといよいよ始まります。縫いものです。笑 

囚人服みたいなクソダサいジャージに名前を縫っていきます。縫い方や縫う場所もcm単位で決まっているのでそれに合わせてひたすら縫っていきます。


※入校する前にまつり縫いのやり方は覚えていきましょう!出だしからつまづきます。笑
※裁縫道具もコンパクトでしっかりしたものを揃えていきましょう。 出だしからつまづきます。笑

U’(部隊経験アリ)が神様に見える

私たちの頃はB(防大卒)よりも3日間早い入校日でした!

Bが入校してくるまでの間、風呂や飯に行く時はU’の人たちが指揮をとってくれました。

その他にも、自衛隊に関することをいろいろ知っているので、ずっとU’の人たちを頼っていました。まさに「神様」のような感じで、自然とU’を中心に動いています。


U’の比率はどこの区隊もだいたい5人程度だと思います。
※ちなにみB:Uの比率は6:4くらいです。ややBのほうが多いです。

ただそんな「神様」たちも下界に引きずり降ろされる日がやってきてしまいます。

B(防大卒)の襲来

入校して3日後の朝、大きな号令とともに自分たちにはまだ支給されていない制服に身をつつんだBが隊列を組んで大勢やってきます。

自分たちは「囚人服」、Bは「制服」というまるで力関係を象徴するかのような構図で出迎えます。


そして静かだった幹部候補生学校がいっきに賑やかになります。当たり前です。Bたちはみんな4年間も同じ時間を過ごした仲間同士なんですから。

Bが入校した後は、Bのリーダー格がみんなをまとめはじめます。自分たちUはただただそれに従うって形ですね。

ですが、いままで何となくしていたことが統制されはじめ、一気に自衛隊らしくなっていきます。

この時点では、基本教練も習っていないですが容赦なくはじまります。雰囲気で合わせるしかないです。爆死

でないと、こんな目にあいます。

防大卒のBくん「後ろから番号はじめ!」

●一般大卒のUくん「(後ろから番号って)...?」

● 防大卒のBくん「後ろから番号はじめ!!」

●防大卒のDくん「お前が1だよ!」

●防大卒のBくん「あいつなんなん?」


まあ、最初はこんな感じですが、卒業する時には大切な同期になっています!圧倒されますが、安心してください(^^)

最初のBの印象はこんな感じでした。

・なんかガタイが良すぎる
・なんか厳しそう
・とりあえず身辺整理が早い
・行動がいろいろ早い

てか、みんな同じような顔つきしてね?
自衛隊続けるとそんな感じになっちゃうの?

本格的な教育(追い込み)が始まる!!

 Bが入校したことで区隊が全員揃います。ここからいよいよ本格的な教育が開始します。

被服の受領

 まず、被服や装備を受領します!サイズ合わせも行うので、これだけで丸1日かかります。

Uの幹部にとってははじめて迷彩服に袖をとおすことになります。迷彩服を着た自分の姿を見て、「ほんとに自衛隊に入ったんだ」と実感します。

装備品も一式受領するので、かなりの量になります。いままでスカスカだったロッカーが入りきらないほど官品でいっぱいになります。

そして、受領した迷彩服等にはしなくてはならないことがあります...そう、それは、名札の縫いつけです!笑

もう指が痛くなりますね、ほんと。

営内生活

営内生活も本格化します!助教、付教官から自衛官として必要な営内生活の基礎を教わります。

ベッドメイク、靴みがき、プレス、食堂の利用の仕方、浴場での躾事項、掃除、入退室要領などいろいろな事です。

Bはほとんど知っていて当たり前にできることなので、Uの教育がメインになります。

ベッドメイクなどはい1度で覚えられないので、教育後もBに教わりながら実施してました。

統制につぐ統制

「統制」
この2文字は自衛官をやっていくなら一生ついてきます。

もうほんとに細かい事まで統制します。

はっきり言って「その統制事項って意味あんの?」って事もありますけど。笑

特に、幹部候補生学校や新隊員教育隊、陸曹教育隊などの教育期間は特別厳しいです。

ロッカー内の配置、靴の位置や向き、衣装ケースの位置、服のたたみ方、ハンガーの向きまで統制されていきます。

逆に自由に物を置けるのは、キーロッカー、自習室の机の中、私物庫のスーツケースの中くらいだと思います!

※なので外出点検の際には、見られない場所に余計なものは隠していました。

1分単位の時間管理

日課時限に沿った行動がはじまります。細かい日課時限は割愛しますが、結論だけいうと全く余裕がないです。

食堂や風呂に行く時にも駆け足をしないと間に合わない時があります。(確かこの時期の朝食は毎回駆け足でいってましたね...)

集合時間、次の行動の結節も1分単位で決めていきます。最初は、きつすぎてしんどいですが、人間怖いことに次第に慣れます。

個人の時間、プライベートな時間はまずないです。リアルにトイレの中くらいじゃないでしょうか?

この時期は常に分隊、区隊で行動していますから。極端な話、忘れ物をとりに戻る時も、みんなで行きます。

時間は厳守なので、何がなんでも間に合わせないといけません!みんなに迷惑がかかります。

自衛隊あるあるですが、時間厳守のため集合時間とかは5分前行動が基本になります。さらに、5分前行動を厳守しようとして、その5分前に集合しようとします。
結果、10分前に集合します。
時間の無駄です。笑

心臓に悪い剛健点呼

私が幹部候補生学校で嫌いだったもののひとつがこれです。

剛健点呼です。

早朝ラッパで叩き起こされたのち、1~2分でベッドをたたんで、窓を開けて上半身裸になって隊舎前に集合して報告します!報告までの時間は5分です。ただし、1~5個の区隊があるので、もっと早くしないと最後の区隊が間に合いません。


真面目にやってたら間に合わないです。無理ゲーです。なんでそのうちみんなズルをするようになります。そして、付教官に見つかりシバかれます。たぶん、どこの区隊も同じ経験をしています。笑

私の記憶だと1回も5分以内を達成したことはないですね...





最初の頃は、窓開けて「おはよー!!!!」って言います。絶対に近所迷惑だと思いながらやってました。笑

風呂がしんどいんじゃ

風呂がマジでしんどいです。笑

まさに「イモ洗い状態」です。まず、シャワーが使えたらラッキーです。人が多すぎて使えないです。1/3くらいの人は浴槽のお湯で体を洗ってました。

脱衣所も狭いです。せっかく風呂に入ったのに、あとから来た汗まみれのヤツの背中とぶつかります。最悪です。

入浴時間も服脱ぐ~体洗う~服着る~外に集合するまで約20分くらいしかないので、全然余裕はないですね。

しかし!このイモ洗い風呂の状況が改善されました!

私が入校中の平成28年6月頃に浴場が新設されました。全体的に広く快適になりました!

今後、入校される方はいくぶんマシな浴場になっています。

同期が辞める、また辞める

入校式前のこの時期、同期がどんどん辞めていきます...たぶん全体で20~25人くらいは幹部候補生学校を去っていったと思います。(その後もちょこちょこ辞めていきますが、辞める人が1番多いのはこの時期です。)

幹部候補生学校を卒業して思うのですが、この時期が1番しんどかったです!

理由は単純でこんな感じです。

  • プレス、靴みがきなどに慣れていないため時間がかかる。
  • 1日の行動が全く習慣化されていない。
  • まだ、同期とそれほど仲良くなく気をつかう
  • B(防大卒)からプレッシャーがきつい

結局は環境に慣れていないことに集約されますね。

加えてこの時期は「覚悟がないやつは入校式前に辞めさせる」と言わんばかりの時間的な追い込みが厳しかったですね。

今思うと、そんな意図もあるような気がします。笑

この時期に辞めた人の特徴

この入校式前の追い込み時期に辞めてった人の特徴は以下の3つです。

  • そもそも幹部自衛官になることに迷いがあった
  • 集団生活に馴染めない、向いていないタイプだった
  • やむ得ない家庭事情があった

こんな感じなので、やる気があって、集団生活をこなせる人なら十分にやっていけます。

少なくとも体力的な理由で辞めてった同期は私は見てません!

幹部候補生学校での離職率

退職者の話が出たのでちょっと補足しておきましょう。

入校時のBU候補生は全員で370人前後です。各区隊ごと37人くらいで割り当てられます。

私が卒業した年は卒業生が全員で330~340人前後だったはずです。ですから離職率は約8~10%程度だと推測できます。

部隊配置後の退職者(補足)

部隊配置後の退職者については、正確な数字は分かりませんが各区隊で2~3人くらいはAOCまでに退職してる感覚です。

1等陸尉になるのは、約300人とするとAOCまでの離職率は約19%程度となります。

最初のビックイベント/入校式

入校した後の最初の日曜日でした!最初のイベントである入校式があります。

Uの一般大卒の人たちはこの場で初めて「服務の宣誓」をします。

「 事に臨んでは危険 を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつ て国民の負託にこたえる 」ことを誓ったこの瞬間から正式に自衛官人生がスタートします!

その後は隊員の家族を含めた祝賀会食があります。自分の両親に制服姿をみせるはじめての機会ですね!

この会食には陸上幕僚長、福岡県知事なども招かれています。ちなみに私は福岡県知事の正面、陸上幕僚長の斜め前というVIP席でした。

理由は家族が来ていないのと、当時の福岡県知事と同じ大学の出身だったためです。

追記 │ 係を決める

そういえばこの時期に各人の係を決めるというイベントもありましたね!この係は基本的に変わらないので、入校間ずっと同じ係をやります。

参考程度にざっと紹介していきます。

企画係:3名程度
→区隊の司令塔のようなポジション。各人の役職(小隊長、小隊陸曹、学習、当直勤務)の割り振りも行う。結構忙しいし、ある程度リーダーシップが必要。

体育係:4名程度
→体力練成の種目を決めたり、準備体操及び整理運動をみんなの前でする。休日の練成では、みんなに文句を言われながらも徹底して練成させることが必要。体力とトレーニングに関する知識があったほうがよい。

厚生係:2名程度
→宴会兼レクリエーションを担当。何かと宴会が多いし、笑いのセンスが必要。みんなを巻き込んですることのできる影響力のある人がオススメ。

補給係:2名程度
→シーツ・枕カバーの回収・配布、その他物品の検査・壊れた装備品の請求を担当。物品の検査があるときはみんなを指揮してやらせる。何よりも大変なのは、卒業時に返納する時。しっかり整備させないといけない。

給養係:2名程度
→飯の担当。意外と大変。大変なのは演習間の飯上げ。30人以上の飯が出るが、絶対に余る。その処理が大変。大きいケースを洗うのもひと苦労。

環境美化係:4名程度
→清掃・ゴミ捨ての担当。けっこうブラック。毎週、外出点検のために清掃するがその時の計画を考えないといけない。また、清掃に関しては指導されることが多い。それを一身に受け止める必要あり。

新聞・アルバム係:2名程度
→区隊の訓練や日常を記録して、区隊新聞を作成するのが仕事。普段は特に何もないが、新聞を作成するので笑いのセンスが必要。向いている人や好きな人にはオススメできる。

パソコン・通信係:2名程度
→パソコン・通信機材を担当。超絶ホワイト。普段はほとんど仕事がない。ただ、演習間は通信を担当するので、どんなに疲れていても通信機器に不具合が起きたら対応しないといけない。

火器係:4名程度
→武器・装備を担当。かなりブラックである。武器は整備に時間がかかるし、点検も多い。その度に時間が奪われてします。入校当初~卒業間際まで忙しい係。

弾薬係:3名程度
→文字通り弾薬を担当。空砲の配布・回収がメイン。自衛隊は空砲であっても回収することが原則。ゆえに数に厳しい。かなりの数の弾薬を1コ1コ数える。演習間で疲れている時にするのは結構キツい。責任は重大。

訓練係:3名程度
→演習の準備、装備品の統制、砂盤の作成を担当。演習前になるとやや忙しい。訓練や装備に関する知識があったほうがいいので、防大卒か部隊経験のあるU´が担当したほうがいい。

会計係:2名程度
→区隊費の徴収・管理がメイン。特に難しい仕事はないが、お金が絡む仕事なので几帳面に管理できる人がしたほうがよい。普通にホワイト。そんなに忙しくない。

教範・図書係:2名程度
→教範と地図が主な担当。教範は毎月点検があるので、それを担当する。地図は戦術及び訓練で使用するものであり、それの配布・回収が結構ダルい。そうとうな枚数と大きさ。絶対に無くしてはいけない。

思い出せるのはこれくらいです!
係の種類は今も変わってないと思います。

記事のまとめ

 簡単に今回の記事をまとめてみます!

●正門通過したら世界が変わるよ!
●入校から3日間はU’のお世話になろう!
●B(防大卒)からのプレッシャーはすごい!でも悪気はないと思う、たぶん
●営内生活は慣れるまでがしんどい、この時期は辛い
●辞めてく同期はこの時期が1番多いよ!

入校~GWまで/その①はここまで

入校式が終わり、今後は座学や訓練、体力練成が盛りだくさんに行われていきます。

長くなったので入校~GW②は次の記事にしたいと思います!
入校~GW②は下のリンクからどうぞ!

【剛健】陸自幹校(入校~GW②)| 英語クラス分け、空挺・飛行要員適性試験を見る

コメント

タイトルとURLをコピーしました